文教の杜ながいでは、2022年より、地域外から美術作家を招聘して長井を新たな視点から捉えなおし、その魅力や価値を再考する展覧会シリーズ「現代作家が見た長井」を開催してきました。本年は外部キュレーターを招聘し、版画や身体表現を通じて歴史や社会と接続する作品を制作してきた2作家による展覧会を開催。長井の歴史や民具、郷土の版画家・菊地隆知などに関する取材を経て制作された作品を、県指定文化財・旧丸大扇屋に展開します。
それぞれ異なる身体経験を出発点とする、山形ゆかりの若手アーティスト、江口湖夏と渋谷剛史。本展では、二人が長井という土地や地域の人々との関わりのなかで生み出した作品を、旧丸大扇屋で紹介します。
江口は、壁画やパフォーマンスを通して、自身が道具に動かされることや、自ら機械の一部となる身体的な実践を手がかりに、人間の営みにおける技術や他者との関係性、感情の居場所を問い直しています。一方、渋谷は、自身の難聴や発達障害、柔道の経験を背景に、身体表現や映像、版画、漫画を用いて、社会の規律や自身を取り巻く記憶と向き合っています。
二人に共通するのは、身体を通して世界に働きかける、それぞれの「技」を持っていることです。それは柔道の技であり、版画の技法であり、土を耕す営みであり、記憶や歴史、他者と向き合うために「やってみる」ことでもあります。
長井の歴史や文化、版画家・菊地隆知の足跡、百姓として生きる人々や「令和の百姓一揆」の活動、そしてこの土地と他の場所とのつながりに目を向けながら、二人は自らを取り巻く状況をときに受け止め、ときにずらし、この世界に小さな「返し技」をかけようと試みます。本展では、そうした実践から生まれる技術と想像力のあり方を探ります。
キュレーター 慶野結香
□ 2026/7.17(FRI)ー8.30(Sun) ※休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
□ 10:00ー17:00(入館は16:30まで)
□ 文教の杜ながい 旧丸大扇屋
□ 入館料 :無料
□ 主催 :一般財団法人文教の杜ながい

1998年千葉県生まれ。東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コース卒業。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修士課程在籍。2026年4月までインドネシア留学。
言語化しきれない衝動や出来事を起点とし、それを身体やメディウムを通して再考すること、他者との対話を通して背景にあるものを掘り起こすプロセスを重視した活動を行う。
近年の主な展覧会に「空へと / In Motion with the Sky」(マイナビアートスクエア、東京、2025)、「城南島アートフェア TUAD ART ECHOES」(ART FACTORY 城南島、東京、2025)、「Pure Max狩り Revolution」(VOU bldg./棒ビル 1F、京都、2026)など。

1994年山形県生まれ、同・西川町拠点。倉敷芸術科学大学卒業。東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻芸術総合研究領域修士課程修了。元柔道選手、重複障害者(発達障害と難聴)。
学生時代に経験した体育会系のしごく/しごかれる関係をベースに、自身の身体と歴史の対話の方法を模索している。また、2024年より木版画を中心とした参加型アートプロジェクト「山びこ版画企画」を主宰。
近年の主な展覧会に「同居人の病理」(TURN ANOTHER ROUND-2、宮城、2023)、「刻まれた裏物語」(HESO、山形、2020)、「山形ビエンナーレ2018 山のような100ものがたり」(東北芸術工科大学、山形、2018)など。

ギャラリーを一緒に回りながら、本展アーティストとキュレーターが各作品について解説します。
◻︎日時:2026年7月17日(金)14:00-15:30
◻︎会場:旧丸大扇屋
※参加無料、予約不要
パフォーマンスをご覧いただくとともに、希望者はパフォーマンス(操作)にご参加いただけます。
◻︎日時:2026年7月17日(金)、18日(土)、19(日)15:00-15:30
◻︎会場:旧丸大扇屋
※参加無料、予約不要
これまでの江口湖夏と渋谷剛史の足跡も紹介しながら、長井での経験について、そして今作とのつながりについてお話しします。
◻︎日時:2026年7月18日(土)14:00-15:30
◻︎会場:小桜館ホール
※参加無料、予約不要
西川町のバンクシーこと渋谷剛史の壁画ワークショップが長井にもやってきた!「こんな街になったらな~」と考えながら、スプレー等を使って準備された壁に絵や文字を描いてみよう。完成した壁画は8月9日(日)イベント時などに展示予定です。
◻︎日時:2026年7月20日(月・祝)14:00-16:00
◻︎対象:小中学生
◻︎会場:小桜館入口前
※参加無料、予約不要
大学時代まで柔道に打ち込む反面、難聴や発達障害で周囲と同じ行動ができなかったこと、それにより受けた視線への「返し技」として美術に打ち込んできた渋谷。そして大学卒業後にひきこもりを経て回復し、社会包摂のあり方を考えてきた渡辺は、共感を越えた対話の可能性と、不可視の孤立者たちへ意識を向ける。本トークでは、生きていく困難さについて考えながら、美術やスポーツの可能性について検討していく。
◻︎日時:2026年8月9日(日)15:00-16:00
◻︎会場:小桜館ホール
※要予約(8/7(金)締切、フォームか電話にて)
最近インドネシア留学を終えた江口と、今年マレーシア・ペナンで行われた「シェアミーティング3」(共催:山中suplex、Blank Canvas)に参加したアメフラシ(コアメンバー:村上滋郎、松崎綾子、池田將友)。それぞれがアジアの国々に滞在し、様々なコレクティブと共に時を過ごして気づいたことや、自らの現在地との対比や影響について語ります。百姓一揆によるDJや、ビールや食事の購入、作品の展示と購入なども予定しています。
◻︎日時:2026年8月29日(土)16:00-21:00
◻︎会場:kosyau(山形県長井市十日町1-9-2-1)
※入場料1,000円(ワンドリンク付)、予約不要

