2021年・第3期収蔵品展「怪の連作~長沼孝三の思想と表現~」

第3期収蔵品展「怪の連作~長沼孝三の思想と表現~」

 

長沼孝三彫塑館は、丸大扇屋に生まれた彫刻家・長沼孝三の彫塑作品や遺品などを収蔵し、年間3期の展覧会を通じてその作家像を紹介しています。

 東京美術学校卒業後、新進気鋭の若手彫刻家として活躍した長沼孝三は、戦後《愛の女神》(1949年)、《慈愛》(1957年)など、人間愛にあふれる多くの作品を発表してきました。しかし58歳の頃に制作した《仮面》(1966年)を皮切りに、《うそふき》(1971年)、《傀儡》(1972年)など、人間や社会への批判的な主題に基づいた作品の発表を開始します。その後1974年に制作された《怪いよいよ怪》以降は、布で全身を覆った奇妙なポーズの人物たちがモチーフとなり、《居直った怪》(1979年)、《凶器を持たすな》(1982年)等、その意味深なタイトルも相まって独自の世界観を構築するに至りました。その作品群は、現代でも古びることのないメッセージを我々に投げかけています。

 本展を通じ、長沼孝三の思想と表現に触れ、その複雑な作品世界をお楽しみいただけましたら幸いです。

 

日時:2021年9月14日[火]- 12月26日[日]

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日休館)、月末日(10月31日は開館)


特別展示≪サイパン玉砕≫

太平洋戦争の口火を切った1941年12月8日の真珠湾作戦から80年に際し、長沼孝三作≪サイパン玉砕≫を特別展示します。本作は、太平洋戦争下において猛将の提督とも呼ばれ、真珠湾作戦を指揮した山形県米沢市出身の南雲忠一をモデルとした作品です。かねてより長沼家と親交があった南雲の東京での住まいと作家のアトリエが近所ということもあり、訪ねてきては親しく歓談したといいます。南雲が1944年にサイパン島で玉砕を遂げたとの知らせを受けた作家が一心不乱に作り上げたとされる本作は、戦禍における様々な人々の想いや不条理を漂わせています。

【第2期の展示風景】



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